あんスタ『ジングルベル』のストーリー感想 ※ネタバレ

イベント『ノエル★天使たちのスターライトフェスティバル』のストーリー『ジングルベル』の感想です。

※ネタバレあり去年のスタフェス、ダンスフロアなど過去スト含む)
※英智贔屓
※ちょくちょく勝手な憶測する

fineの箱イベは2017年1月後半実施の『ドリームトラベル』以来、約10か月ぶり。
去年の『スタフェス』でちょっと語られていた、『SS』出場権を再び賭けたfineとTrickstarの対決がとうとう……!?



と思ったけど、そんなことなくてfineがメインのストーリーだった。Trickstarは北斗☆3が一枚だけだったね。
イベント発表前には、「スタフェスにfineとTrickstarと高レアカード半分ずつ来るかな~」と思ってたけど予想が外れた。Trickstarがキセキシリーズのほうに出番取られてるからかな~。
それに「Trickstar 対 fine」のライブ対決を描いても、それじゃメインストーリーの二番煎じになっちゃうか。もう、両者が直接対決することはないんだろうか?
2018年のスタフェスではTrickstarの、夢ノ咲学院ぜんぶを相手取った決死の進軍が詳しく描かれるのかな。


『プロローグ』

プロローグは英智が見ている夢のようだ。
(英智と夢についての記事はこちら→ 英智の見る「夢」について考える


・英智「(クリスマスなんか大嫌いだ)」「(誰か、助けてよ……)」
クリスマスの夜、独りぼっちで病室で死にかけている英智。付き添ってくれている人もいないし、ナースコールをしても誰も助けてくれない。実際に入院患者が、ましてや天祥院の御曹司が、ここまで放置されるとは考えにくい。
これは英智の心象風景であり、彼が抱える罪悪感が見せている悪夢だろう。

・英智「(当然の報いなのかもしれないね……)」「(サンタクロースは公平だね。僕に与えられるのは、孤独と、苦痛と、後悔と 暗闇だけだ)」
自分はプレゼントをもらえるような良い子じゃないと自覚している英智。
サンタ……というか、すべての行いを観察している神のような存在(自分の良心?)に後ろめたい気持ちがあるからでは。

・英智「(まさか、サンタさん? いやでも、よりにもよって、僕のところにはこないよね……?)」
物事を冷静に分析する大人っぽい面とは逆に、こういう子供っぽい面を見せるのが英智のキュートさ。

・英智「お、お見舞いにきてくれたの? 何で? 僕は君に、酷いことをしたのに……?」
突然病室に現れた日々樹くんに驚く英智。
エレメント』の日々樹くんも、楽しそうだったよ。英智も夏目もつむぎも零も、みんな沈痛な面持ちだったけど、渉は笑顔で大舞台に張り切っていた。英智たちに酷いことをされたなんて思ってないのかもよ。

聖夜の奇跡みたいな日々樹くんの来訪

・渉「お手をどうぞ、英智」「下の名前で呼んではいけませんか?」
エレメントでは「天祥院英智くん」と他人行儀にフルネームで呼んでいた渉が、突然英智を呼び捨てにしている……! このときが初めてじゃない!? 事件だ!

・英智「有り得ない! 僕たち、空を飛んでるよ……?」
翼が生えた日々樹くんと空を飛ぶ、ファンタジックで素敵なシーン。魔法のキッスって何なんですか?? そこんとこ詳しく解説してください。いや、やっぱ言わないで! 妄想させて!(レオ)

見てくださいこの美しすぎるスチル。最っっっ高の笑顔です。博物館に収めてほしい。
夢にしてはあまりにも鮮明な夜景で、現実味がある。

俺の、天使さまだよ~~~♪


・英智「楽しくて、幸せだからこそ……。これは夢なんだって、わかっちゃうんだ」「これは夢なんだろう、僕に都合の良いことを言ってよ…… それだけで、僕は生きられる」
英智にとって生きることは現実世界には、苦しいことしかない。安らぎも幸せも夢のなかにしかない。…………しんどい………………


『child birth』

childbirth とは、出産のこと。
まだ赤ちゃんみたいな桃李のことかな。

第一~二話は、星夜祭のステージが終わったところ。

・英智「どうやらとうとうお迎えがきたようだ、と思ったら天使じゃなくて創くんだった」
創くんに「フリフリ~、ひらひら~♪」をやらせる英智に笑った。創くんは元々可愛いのに桃李を師匠にして「可愛い」をさらに向上させてるんだもんな。恐ろしい。可愛さが武器。

・渉「酷いじゃないですか英智っ、私以外の玩具で遊ぶなんて……!?」
英智「玩具だと思ったことはないよ、渉。いつだって、僕の永遠のアイドルさ」
創くんをおもちゃにしてる(?)ことに対してすねる渉。構ってちゃんでかわいい。
渉は自分を「左手」とか「皇帝の道化」と呼んで英智の所有物みたいになりたがってるようだけど、英智は物みたいになんて扱ってない。対等と思ってるのかな、それよりはもっと、自分より素晴らしい存在だと思ってる気がするなぁ。英智は奇人たちを自分より格上だと認めている。

・英智「近ごろ勘が鈍ってるというか、微妙に調子が悪いみたいだね……渉?」
渉の様子がおかしい。波乱の予感…………?

「己の芸を磨く余裕がありませんので♪」


・渉「あなたが見るだけで笑顔を浮かべてくれるような、とびっきりのプレゼントを用意しましたからね~!」
渉にさらわれて、英智へのプレゼントにされている桃李。
英智が見るだけで笑顔になれるのは桃李と敬人、よし覚えた。

・英智「君のことはいつだって、ポケットなどに入れて持ち歩きたいと思っているぐらいだ」
桃李をぬいぐるみみたいに愛玩している感じ。まだまだ一人の人間として認めてなさそう。

・英智「君はご両親をとても愛しているようだしね」
僕はそうじゃないけど、と言ってるように思える。

・英智「君に寄りかかり、負担になるような不様な男にだけはなりたくないんだよ……僕は」
・渉「『独りで歩ける』からといって、『独りで歩かなくてはいけない』わけではないでしょう?」
英智は、体調が悪くても強がってメンバーに頼ろうとしない。渉の負担になることは「不様」だと言っている。プライドが許さないようだ。男の子だからか。
ミルキーウェイのエピローグでは屋上で渉にもたれかかっていたけど……あれは二人きりで後輩が見てなかったから良いのかな!)

「とくに、かわいい桃李の目の前ではね」

『アクアリウム』で、羽風が奏汰くんに
「普通に生きてれば他人に迷惑をかけちゃうの それは、ちっとも恥ずかしいことじゃないから」
と言っていたように、ひとに頼ってもいいのにね。桃李も渉も心配していて、頼ってほしいと望んでいる。仲間なんだから、と。
英智はメンバーを信頼してないわけじゃなくて、「自分には誰かに支えてもらう価値などない」「だからひとりで歩いて行かないと」とかいう気持ちが、あるんじゃないかな……。(深読み)

前回の『スタフェス』ストで他人を頼れなかった人たち
・宗くん
一人でグラウンドで遭難しかけていた。英智の態度に近い。

・嵐ちゃんの話に出てきた自殺した生徒
「あのひとには寄り添ってくれるひとはいなかったのね。だからアタシは二度と同じ過ちは繰り返さない。『Knights』のみんなの、そばにいるわ」
英智も、そばにいようとする人たちを突き放さないでほしいな……。


第三話、校門でお迎えを待つ英智とつむぎのシーン。

・英智「(自分でも意外だよ。以前は心配されると苛立ったものだけどねぇ、病人あつかいするなってさ)」「(僕も、すこしは強くなった。もう自分の命以外の荷物も、わずかでも背負えるかな)」
一年前の英智は、自分の命だけをなんとか抱えてギリギリのところで生きていた。仲間の思いやりに気づく余裕もなく、たくさんのものを喪ってきた。
そんな過去の失敗を思い出し、仲間を大事にしなくてはいけないと反省している。メンバーが体調を心配しお小言を言ってくれたことを理解し、喜んでいる。
それだけ余裕ができたってことなんだろうな。

「以前は心配されると苛立ったものだけどねぇ」


「分かりやすい」ストーリーへ
英智は以前は体調を気遣われるのを「他人行儀で寂しい」とか「気遣い無用だよ」と言って嫌がっていた。それがだんだん他人の心遣いを素直に受け入れられるようになったのは『チェックメイト』でも描かれていたけど、こうしてハッキリ心境の変化を明記されると分かりやすいね……!
ほんと、『ダンスフロア』あたりから、日日日先生の「分かりやすくするぞ~~!」っていうシフトチェンジをビシバシ感じる……というか、『ダンスフロア』の英智の台詞がそういう宣言にしか思えなかった。

初心者にありがちなミスなんだけど、やたら難解にしてしまうんだ 平易に言い換えられず、やたら書き手にしか分からない専門用語を並べ立てたりしちゃってね
いちばん大事なものが伝わらなければその物語は無価値だ。ううん、物語を紡ぐという行為の、本懐を果たせていない
長いお勉強や解読が必須ならば、それは芸術だ。子供が一瞬で理解できるものこそが、理想の娯楽だよ
(ダンスフロア/第六話)
たしかにあんスタユーザー間でも、ときどき認識のギャップがあると感じることがある。
英智がした所業を考えると、他キャラやそのファンに恨まれるのはしょうがないって思うけど。そうのじゃなくてなんか、英智が狙って作ってる悪役・『皇帝』のキャラとはまた違う誤解をされたりしてて、もどかしいときが。
他にも、私が「これはきっとこうなんだろうな~」と何となく雰囲気で感じていることが、ほかの人には「台詞で明言されてないから違う」と思われたりしてることもある。

過剰にハッキリ書かなくてもいいよ、ユーザーの読解力を見くびってるみたい……って不満がってる方も見かけたけど、私は複雑な描写で読者が混乱するよりは、意図が分かりやすいほうがまだ良いと思う。


・英智「……やぁ、つむぎ。君、わりと普通に話しかけてくるよね」
つむぎ「えっ、駄目でしたか!?」
つむぎはそうでもないけど、英智は未だにつむぎに対して気まずい思いでいるようだ。しばらく会話もしていなかったぐらいだ。『エレメント』のエピローグでは普通に話していたけど、あれも後輩が見てるところだったから……? 

凪砂ストでも、旧fineのメンバーでライブを観にいくのを「胃が痛い」と弱音を吐いていた。

凪砂スト『旧支配者』より

・英智「ごめんね、いま言ったことは忘れてほしいな。君のやることに口をだす権利はないよね、僕には」
・つむぎ「英智くん たまにネガティブなことや暗いことを言って、『大丈夫だよ』って周りに励ましてもらいたがる気がします」
英智がつむぎにこんなに弱気……!
英智がちょっぴり甘えられるようになってきた、弱ってるのを(同い年相手には)見せられるようになった、ってことかな?『エレメント』の頃には「愚痴をこぼす権利もない」って言ってたもんな……。

・つむぎ「夢見る子供のところには、きっとサンタさんがプレゼントを届けてくれますよ」
「夢見る子供」は桃李と、英智のことだろう。

「もう冬の時代は終わったんですから」

・英智「だから好きだったよ、つむぎ」「昔から、そういう点は尊敬している。僕も、できれば君のようになりたかったよ」
エレメント』『チェックメイト』でつむぎを利用して駒のように扱っていたけど、英智は心の奥ではつむぎが好きで尊敬していたんだね。ふたりの道は分かれたけど、また「友達」みたいになれた、かな? よかった。つむぎが英智のことを憎んだりはしてなくて、心優しい子なおかげだね。
ユニットを抜けたあとも、学院に輝かしい未来を作るために抗争時代の不都合な証拠書類をこっそり燃やしてくれたりしてたね。(『プレアデス』)まぁまだ去年の出来事だし、当事者たちは覚えてるけど……。



第四~五話、姫宮家のお屋敷で桃李と弓弦が話している。

・弓弦「衣更さま、坊ちゃまにどんな漫画を読ませているのですか?」
過保護すぎる弓弦が桃李の読む本や漫画を事前に検閲している……と分かるシーンは、『エージェント』で出てくる。この世の中に存在する、危ないものや過激なもの、不都合なものはこれまでずっと桃李には見せないように育ててきているのだ。

・桃李「昔は人殺しみたいな目つきをしてたくせに 今は単なる、どっかの主婦」
『Daydream』や茨の話から想像している弓弦の過去の姿は、狂犬みたいな傭兵です。強い。fineの護衛は任せたよ。(渉も強いよ)

・桃李「ほんとのナンバーワンはボクたち『fine』なんだって世間に知らしめたい」
桃李はfineが最強ユニットと思われてなさそうなことに憤ってる。

桃李は今でも春の【DDD】でTrickstarに負けた悪夢を見て大泣きしていると、前回のスタフェスストで語られていた。『ミルキーウェイ』でも、Valkyrieのパフォーマンスに圧倒されて、ショックで熱を出してたね。自尊心と負けん気、fineを愛する気持ちが人一倍強いんだろうなぁ。

「ボク、ずっと悔しかったんだ……」


・桃李「ボクは、英智さまの横で歌いたかったんだよ あのひとの仲間になりたかった、ううん……あのひとと『同じ』になりたかった」
桃李の夢は英智と対等な仲間、一緒に歌えるアイドルになること。そのために厳しい試験を通過して、いまfineにいるけど、そばにいて愛されるだけの現状では満足していない。雛鳥から大人へと成長したがっている。成長した創の姿を見て、自分もそうなりたいと悔しがっている。

英智が言うには、桃李は転校生のことも尊敬しているんだって。良い子だね。愛しさがどんどん増すよ。

プロデュースコースより


『baby talk』

baby talk とは、赤ちゃん言葉のこと。


第一~二話、雪かきをしている弓弦のシーン。翠や桃李がやってくる。

・弓弦「ひとつ掬っては坊ちゃまのため~、ふたつ掬っては姫宮一族のため~♪」「みっつ掬っては『fine』のため~、よっつ掬っては夢ノ咲学院のため~♪」
弓弦の大事なもの、それがこの順番で歌われているんだろうな。fineが弓弦の大事な居場所になっててうれしい。
ここは「ひとつ積んでは父のため……」のパロディか。(『賽の河原地蔵和讃』でググってみてね)

ふんふふん……♪

・弓弦「……なぜ、あなたはわたくしを『画伯』と呼ぶのでしょうね?」 
翠「画伯が画伯だからですよ!」
あの弓弦の絵が好きだなんて、翠のセンスはちょっと普通ではない。たしかに、誰にも真似できない唯一無二の絵柄、ではある……。
仲良くしてて微笑ましいけど桃李はヤキモチ妬いてるようだ。

・弓弦「やはり日本風に、ふたつの雪玉を重ねた『雪だるま』のほうが良かったでしょうか……?」
姫宮家に作ったのは丸がふたつの雪だるまじゃなくて、丸がみっつのスノーマンだったらしい。海外のは頭と胴体と脚、でみっつあるんだね。言われてみれば日本のは脚がなくて「だるま」型だね。

桃李は企画書を提出するため、ひとりで生徒会室へ行く。

・桃李「会長はいちばん偉いんだからお茶汲みなんかしなくても……?」
・英智「やらせてよ、僕はお茶を振る舞うのが好きなんだ」
英智くんはお茶をいれるのが好き。私も毎日ドライフルーツ入りのをもらってるよ。(ミニイベントのアレ)

・英智「誰もが巨大な化け物の尻尾ではなく、ちいさくて儚くても何かの頭であるべきだ それならば、たとえ歩む速度が遅くても……行きたい場所へ行ける」
桃李が自主的に企画を持ち込んだことを認め、理想だ、みんながそうあるべきだ、と語る英智。内容はまだ見てないけど、この時点ではかなり絶賛してる。
「自分の人生は自分で切りひらくべきだ」ってメッセージは、日日日先生の既存ストでも何度か出てきたね。

でもここ、読み返してて思ったけど、分かりやすくは褒めてくれてないね!? 「素晴らしいね」「えらいよ桃李」とでも言ってあげたら桃李もあそこまで大泣きしなかったかもしれない。でもそれだと今までどおり甘やかしてることになるな……。


第三話、生徒会室にやって来た弓弦と渉のシーン。

・弓弦「何やら『しょんぼり』しておられますが、如何しました?」
・渉「表面だけ取り繕っても、執事さんには見破られちゃいますね」
たぶん普通の人は気づけないような、渉の感情を読み取れる弓弦。
『フラワーフェス』では、渉が「あなたは仮面をかぶっている、私も同じ」と言っていた。弓弦はたいしたものは隠してないとはぐらかしていたけど、素顔気になるよね~~~!!

「主のささいな変化を察してこそ一流の執事」

・渉「私は落ちこんでるんですっ、さっき北斗くんに死ぬほど罵倒されたので……!」
『ウィッシングライブ』で転校生が過労で倒れてしまったことで、Trickstarはぎくしゃくしていて、彼ららしくなく大人しくしているらしい。

・渉「『舞台上で誰かが死んでも、観客にそれを悟らせず最後まで演じきり楽しませるのが役者だ』とね」
北斗に役者の持つべき覚悟を伝えた渉。これぐらい強い心意気を持ってないと、ステージで生きていくことはできないんだろう。厳しい。

渉の目論見どおりに、この言葉でTrickstarは発破をかけられて再び走り出すことができた。でも、渉は北斗くんに逆上されて凹んでいる。

「しくしく」

・渉「私がどれだけくだらないことをしても幼女のようにキャッキャと喜んでくれる英智に慰めてもらおうと思って……」
いや~~薄々気づいていたけど、英智は渉にベタ甘……!
『アクアリウム』で渉は「最近は新しい芸を覚えたらまず英智に見せて判断をあおぐようにしている」と言っていたから、客観的にも判断できるんだろうけど。お客さんにどう見えるかを考えなかったら、英智自身は渉の芸なら何でもOKな感じか。

哀しくなったら英智に慰めてもらえるんだね。羨ましい。最近は英智の無邪気な面がどんどんオープンになってきてて嬉しい。かわいい。
英智がこうやってときどき子供っぽい面をチラつかせるところ、かわいいけど、小さい頃に誰にも素直に甘えることができなかったから、今になって反動が来てたり……?(深読みが止まらない)

キャッキャと喜ぶ英智(想像図)

第四~五話、生徒会室に英智が戻ってくる。

・渉「おや、残り香などからわかるでしょう? わかりません?」
お茶やお菓子の状態から事態を把握するのは探偵みたいだね。残り香で誰の飲み残しかわかるのは嗅覚が人並みではなさそう。渉の身体は多分つくりが違う。

・足音で英智の接近を推測できる弓弦
執事だから、というよりはやっぱり兵士のスキルに思える。

・息を切らして戻って来た英智
・渉「ほら英智、過呼吸になってるようなので頭から袋をかぶってくださいね~……♪」
冬は体調が良くないからと、大好きなアイドル活動も控えめにしている英智。だけど、桃李を追いかけてこんなに必死になっている。
渉は英智を介抱するの手慣れてるなぁ。後輩に弱った姿を見せたくないだろうと配慮もしてくれている。優しい。
英智が「君にもたれかかるような無様な男には……」と思ってるのにごめんだけど、私は渉が英智のサポートしてくれるのすごく嬉しい。ありがとう渉…………

・渉「……さて英智、事情を聞かせてもらいましょうか」
弓弦がひとりで桃李の捜索に向かったあと、渉は英智に詰め寄る。
なぜ桃李が行方不明になっているのかと責める。


怖い声で英智を問い詰める渉

・英智「珍しい。怒ってるんだね、渉」
珍しいってことは、英智の前ではたまには怒るのかな?

『フラワーフェス』の頃には、fineには興味がないって言ってた渉がこんなに真剣に……! 渉の変化についても、長くなりすぎたので別記事で語ってます。→(『日々樹渉』の変化と人間と偶像

フォロワーさんのツイートでハッとしたんですが、
今、渉が英智以外のメンバーにも真剣に向き合っていること、fineが彼の居場所になっているのは、メタ的には斑が過去の渉の「ソロで活動する」という要素を引き継いでくれたおかげでもあるかも。(『オフィシャルワークス』斑についての日日日先生のコメントより)

・桃李の企画書の内容、英智がボツにした理由
桃李は英智が、旧fineがしてきた行為を知らされていない。そうだろうな。慕ってくれてる無邪気な子に、言えないよね……。
だから桃李は、fineは英雄で、正義で、最強だと信じている。穢れなき天使としてステージに舞い降りて、みんなにその輝きを認めてもらおうという企画を書いてきていた。

英智は桃李の企画を却下した。理由はあえて桃李には説明していないが、いくつもあった。
過去のfineの所業を知る人にとっては白々しくてうすら寒い、貴族ぶっていて高尚すぎているのは英智の思うアイドル像とは違う、時間が足りない、Trickstarの壮行会であるスタフェスで、主役を食ってはいけない……

「あの子には過去の『fine』が行なってきた、数々の後ろ暗い行為を伏せている」

英智は『ダンスフロア』で、みんながひと目で気に入って真似できるようなアイドルが『fine』の理想像だと言っていた。天才的・芸術的なもの、高尚すぎるようなものは方向性が違う。
たしかに、日本の芸能界の『アイドル』って、そういう親しみやすいな気がする。歌や踊りがプロの歌手やダンサーみたいに卓越してなくても、芸術品みたいに洗練されてなくても、応援したくなる。身近な感じがして、愛される存在。


・渉「【DDD】では、あなたはかつての『五奇人』をなぞるように悪役ぶっていましたからね」「あなたなりの贖罪だったんですか?」
英智「気まぐれさ。赦されるとも思っちゃいないよ」
英智は自ら望んで悪役をしてきた。憎悪すら糧にして幻の帝国を作り上げてきた。
だからみんなに嫌われることは想定済みだ。憎悪も怨みも向けられる覚悟があり、罰を与えられて当然だとも思っている。

だが、その状況が全然平気なわけではない。幸せな夢の中でなら、サンタさんが来てくれるかも、と淡い期待を抱けるが、現実では「僕のところには幽霊のほうがやって来そうだよね」などと自虐的だ。
(プロデュースコースで『クリスマス・キャロル』の主人公である冷酷で嫌われ者の守銭奴な老人と、自分を重ねている)(クリスマス・キャロル―Wikipedia


英智の罪と罰
英智は革命期、自分の強さや正しさに自信があるから他人を倒していったわけじゃなくて、むしろ逆で、彼は劣等感を克服するために、憧れの奇人達を倒すという筋書きにした。(『Daydream』でそういう独白があったし、『コンチェルト』でも斑に指摘されていた)まぁそれは動機の話だけど。動機が100%善意で利他的なものだったら、革命が罪とは言われなかっただろう。

英智のこと嫌いなプレイヤーさんが、「ひどいことしたのに英智は裁かれない、何も罰を受けてない!」と言ってたりするのも見るけど……。
英智自身が、自分で自分を責めている。寂しくて苦しくて怖くて、罪悪感にさいなまれて震えている。「生まれてごめんなさい」(『Daydream』)とまで思っている。私はもう十分すぎるほど罰受けてると思うけどなぁ。『皇帝』の武装の下の、素の英智くんは弱い。

『ダンスフロア』 エピローグより


まだまだ深読みするよ。

英智の破滅願望?
ではなぜ、怨まれると分かっててあんな道を選んだのか?

私は英智から、ときどき破滅願望を感じる。破壊衝動ではなくて、自分自身を破滅へ追い込むような……。『七夕祭』で敬人にも「貴様は破滅的で危うい」と言われていた。

メインストやその後の色々なストで悪役を務めて敵になるのも、
「困難を打ち破る輝かしい奇跡を見たい」というアイドルへの期待や好奇心があると同時に、「こんな僕を倒して、壊してほしい」みたいな願望が理由にある気がする。
もしかして自分はみじめな人間だ、ひどくされても当然だって思う劣等感・自己否定感が根底にあるんじゃないか? 自己肯定感、「自分は周りの人に愛されている、生きてて良いんだ、幸せだ」を感じられることがほとんど無かった…………? 

「もしもこの世に奇跡があるのなら……。希望が、夢が、愛があるならば」
「僕もこの世界を、運命を愛せるかなと……」(『歌声よ天まで届け』P.335)

英智は、ボロボロの身体に生まれた世界を、運命を、神を呪っていた。
だけど本当は、世界のすべてを愛せるようになりたいと願っているんだ。神さまだって信じてる感じがある。愛すべきものを愛せない自分が嫌だからこそ、自己嫌悪してる気がする。


・英智「自分で理解できないなら、可哀想だけど、僕は桃李を見限る」
企画書から桃李の甘えを感じた英智は、必要以上に冷たくあたった。
仕事場で甘えや馴れ合いは決してあってはならない。現状で満足せずにもっと上を目指すように、戦場のような芸能界でも油断しない子でいられるように。
却下された理由も桃李自身に考えさせる。容赦がない。

でもほんと、身内でビジネスするとなると、そういうとこが難しい……。贔屓したり、甘やかしたり甘えたりしてしまうよね。
英智がここまで毅然とした態度で企画を拒否できるのは、桃李がファンじゃなくてアイドルなのか見定めようとしてるって理由と、
桃李がもう守ってあげるべき赤ちゃんじゃなくなってきて、一人の男として自立すべきだと思ってるからかな。でもこうやって桃李に厳しくしたこと、悪夢に見そうなほど自己嫌悪している……。親みたいな悩み。

・英智「あの子が単なるファンならば、僕はこれまで以上に優しく甘やかしてあげるよ」
好かれることが嬉しいんだね。ファンのことが大好きなんだね……!


第六話、桃李の捜索に向かう弓弦。

・弓弦「世界中の人類すべてが見捨てても、己だけは最後まで付き従うのが執事の使命)」
弓弦はブレないね……! ずっと桃李を支えている。桃李の手を取って、導いて支えることことが生きる意味だとまで言う。
姫宮家というよりは、桃李自身に忠誠を誓っているように思う。いったい何が弓弦をそこまでさせるのか。

・弓弦「(これは『fine』の、わたくしたちの持ち歌 あぁ、感じます! 聞こえます、わたくしたちのシンフォニアが!)」
弓弦がfineの色に染まっててうれしいよ~~!

「軽蔑されたら生きていけない」

・泣きじゃくる桃李を励ます弓弦
fineの本当の姿、夢ノ咲学院の生徒の中のfine像、桃李はそういうものを知らずに企画を立てた。憧れの英智に突き放されて、この世の終わりみたいに泣きわめいている。
しかし弓弦はある程度この展開を予想していた。『オータムライブ』でつむぎからfineの過去の行いを聞き出していたためだろう。

あのとき弓弦が「汚いところも痛ましいところも含めて受け入れたいと思います」と、fineの後ろ暗い面も受け入れる覚悟を示してくれたこと、嬉しかった。

『リベンジマッチ』より

桃李にも、「綺麗なものだけ与えていては、いつまでも免疫がつきません」と、この世界の暗いところも見せていく意思が感じられた。でも、この日まで桃李に事実を伝えていなかった。やっぱり大好きな先輩のネガティブな話だから、打ち明ける時期を伺っていたのかも。

・弓弦「彼らは諦めませんでしたよ、何があっても」
「そんなお星さまのような存在になりたくありませんか? わたくしは――なりたいと思いますよ、今では心から」
Trickstarの子たちなら何度失敗しても諦めない、と桃李を励ます弓弦。
桃李はふだん生意気な態度で偉そうにしているから、失敗に弱いのかな。この悔しさをバネに成長できる子だと思う。負けるな桃李……!
てっぺんにいるTrickstarがきらきら輝くお星さまのようにたとえられるのは、【スターライトフェスティバル】だからかな。弓弦も、いまは自分の意思でアイドルになりたいと願ってくれてるのが嬉しい。


『surprise party』

第一~二話、一週間後、【スタフェス】当日の生徒会室。

渉「さては悪い子だからサンタさんにプレゼントをもらえなかったんでしょう♪」
英智「誰が悪い子だい……」
英智くん、プロローグで自分ではプレゼントがもらえるような子じゃないって思ってるけど、人に言われるのは嫌なんだ。弓弦にも腹黒いみたいに言わないでほしいって言ってたもんな。(『スーパーノヴァ』)
英智は自分の弱いところを覆い隠して強い『皇帝』らしく振る舞ったり、わざと偽悪的に振る舞ったりするから分かりにくいけど、本心からひとに悪く思われたい人なんていないよね……。

・桃李と日和と英智でパーティの余興に歌った
天祥院家のクリスマスパーティに招かれたい人生だった。良い子ちゃんぶって愛想を振りまく英智くん、見たすぎ。

・渉「私もできればピラミッドとか天空の城とかで暮らしたいんですけどね~♪」
英智「君が望むなら、来年のクリスマスにはそういうのを自宅としてプレゼントするよ」
小さな国の次はピラミッド……!! おねだりすれば何でも買ってくれる英智、強い。(財力)
喧嘩祭』では英智と敬人が子供のころ「英智が死んだらピラミッドをお墓に建てよう」と英智のお葬式の話をしていた。天祥院の財力があればほんとに作れるかもしれない。

「幾らぐらいするんだろうね、ピラミッドって?」

・企画の修正案を持ってきた桃李
英智が内心期待していた通り、桃李は諦めずに企画を練り直してきた。強い子だ。

・英智「彼女も死の淵を覗いて、人が変わっちゃったのかもね……な~んて♪」
負ければ即退場、過酷な【スタフェス】のルールを定めた転校生に対して、自分もそうだったと言わんばかりの意味深な台詞。かわいく茶化してる。かわいい。


第三話、生徒会室に北斗がやって来る。

・北斗「俺たちは、『SS』に夢ノ咲学院の代表として出場する権利を返却する」
英智「……開いた口が塞がらない」
北斗の提案を聞き、英智は最初唖然とした。ショックを受けながらも北斗たちの意図を推測し、Trickstarが【SS】出場が怖くなって逃げ出したのだと勘違いする。
英智がこれまでこんなに声を荒げて怒鳴ったことあった? 初めてだよね……!? ワクワク!(喜ぶ)

「ふざけるなよ! 『Trickstar』……!」


英智の怒り
渉が英智に怒ったときも感じたことだけど、このシーンの英智も何だかおかしい。英智が、こんなふうに冷静さを失って早とちりして取り乱すなんて……。『皇帝』らしくないし英智らしくない、そう思ってしまう。

・英智「寝耳に水どころか、爆弾でも投げこまれたような気分」
これは、Trickstarにやり返されたのだ。『サマーライブ』で英智は、
「千尋の谷に突き落とされ、爆弾まで投げこまれるような絶望的な悲劇から、華麗にするような奇跡的な存在にこそ用がある」
「甘やかさないよ。次から次へと爆弾を投げこんであげよう」
と言っていた。
そして、自分はずっと彼らに試練を与える側だと思っていたのに、このタイミングで不意打ちを食らったのだ。

「噛みついて怒らせて、相手の本物の感情、本性を引きだすといい。そういうのは得意だろう」「Trickstarは対戦相手を本気にさせてしまう熱量がある」
と『サマーライブ』で言ったのは、そう、英智だ。
そんな彼らに、英智はまた翻弄されている。(北斗はこの提案で英智たちを驚かせたいとは意図してなかっただろうけど、結果的にはそうなった)
こんなTrickstarだからこそ、【DDD】でfineを退け優勝できた。

「そういうのは得意だろう、北斗」

喧嘩祭』で、紅月解散命令に憤慨して襲いかかってきた颯馬に対し、英智は「直情径行なのは羨ましくすらある」と語った。英智は、颯馬を羨ましいと思うのだ。ほかの人の事情など気にせず自分の思ったままに素直に行動できるところが。
英智にはそういう生き方ができなかった。権力者たちの権謀術数が渦巻く上層階級を見て育ち、学校生活でも健康な人と戦うため策を巡らさねばいけなかった。

こんなふうに、頭脳(と達者な口)が武器の英智が、愚かにも思考を停止して激怒するぐらい、振り回してかき乱してくれるのがTrickstarなのだ。だから、英智が後日このときの出来事を思い返したら、きっとまた「さすがTrickstarだ」と賞賛するはずだ。


Trickstarにかける期待
期待を裏切られた、と勘違いした英智が怒るのも無理はない。
英智が【DDD】で【SS】出場権を譲ったのは、Trickstarが奇跡を見せてくれたからだ。
犠牲にしてきたもののためにも、英智たちは絶対に頂点に君臨しつづけなければならなかったのに。それでも全てを託した彼らが、ここに来てそれを手放そうとするなんて絶対にあってはならないことだ。躊躇することすらも許せないだろう。
こんな直前になって、今更!? 君の覚悟はそんな程度のものだったのか、君は『奇跡そのもの』じゃなかったのか?

英智は以前、不安がっていたスバルにも「甘やかさないけどね、僕だけは絶対に」と釘を刺していた。英智の言いなりになることを拒んで『ふざけんな! 俺たちは我が道を行く!』って宣ったのは君たちだ、助けてはあげないよ。と突き放していた。
サマーライブで負けた北斗もしょんぼりしていた。でも、その頃はまだ、英智は先輩ぶって忠告しながら笑っていられる余裕があった。

(スバルのストーリー『皇帝に真珠』より)

今回の状況をたとえるなら(?)、
英智が命懸けでいろんなものを犠牲にして結ばれた最愛の許嫁(同棲中)を、突然現れた若者に「おまえらの作る家庭はキラキラしてない!」と奪われて、まぁその過程が奇跡的で感動したし、この子になら任せられそうだ、立派な男になるよう厳しく鍛えつつふたりを応援しようか。……と見守っていたら、彼らの結婚の前祝いパーティで「俺に彼女の夫になる資格が本当にあるのか不安になってきたから、やっぱり保留にして」って言われたようなもんでしょ? 「ふざけるなよ!」って言うわ、そりゃ。(たとえが長い……!)


・渉「心の底から驚きました! こんなに綺麗に不意打ちを食らうことは生涯、二度とないでしょう!」
渉も、北斗の提案に驚いて呆然として、愉快な贈り物だと喜んでいる。


第四~五話、【スタフェス】のステージ。
背水の陣のTrickstarは、鬼気迫る勢いで快進撃を続けている。

・桃李「(どうして、あんなふうに前のめりに……一生懸命がんばれるんだろう どうして……。ボクは、あんなふうにできないんだろう)」
桃李は以前、七夕祭で「お師さんのためなら人生も将来もぜんぶ売り払ったる」と言い放ったみかと対峙し、その気迫に震えあがった。
恵まれた環境で育った桃李は、本当に「命懸け」ではアイドルをやれない。でもそれは桃李が、自分も自分を愛してくれるひとたちも、みんなを大切に思えるからだ。そのままでいいんだよ……。
ボクにはできない、ぜんぶ捨てることなんか…… どれだけ口で、一生懸命なんて言っても! パパとママを哀しませたくないよ、ほんとに命なんか懸けらんないよ!
ミルキーウェイ 天上の逢瀬/第四話)

・英智「まさに狂言回しだ あの子らがこちらの手のひらの上で、想定どおりに動いてくれるなんて思ってた僕が馬鹿だった気もするけどね」
「狂言回し」とは、主役ではないけど話の進行に関わる重要な役柄のこと。トリスタの名前の由来、「trickster」の日本語訳だと思う。
戦場みたいなステージに、みんなが活発に飛び込んでいくのを見て英智も嬉しそう。英智の貪欲さがにじむ物騒な言い回しを聞けて嬉しい!

・英智「彼らが疲れて指先も動かせなくなったころに、優雅に忍び寄って頭から丸かじりにしてあげよう 【DDD】の仕返しだ……♪」
渉「意外と陰湿というか、怨みがましいですよね……英智?」
今度は英智からTrickstarに仕返しをしようとしている。

というか渉、英智のこと陰湿で怨みがましいって、マジでこれまで全然思ってなかったの……? 零に「根暗野郎」、敬人に「俺にも理解できない怨念を抱えている」とまで言われてた子なのに? 奇人仲間や自分が悪役にされて倒されたことにも、ネガティブな感情を感じてなかった……!?!?
そういや『アクアリウム』で零が「三奇人は人に恋い焦がれるから人を嫌ったりせんよ」って言ってたね。

英智は渉にそんなこと言われても、にっこり笑っている。かわいい。ずるい自分を卑下するのをやめて、そういうところも自分なんだって認めたのかな。

「それが僕のチャームポイントさ」

・英智「そうしたら今後は、もう二度と君を子供あつかいしないから。大局を見て、戦略を練り、必要なら卑劣な手段も講じられる…… 一個の人間、大人として扱おう」
英智が戦略を練り、ときに卑劣な手段さえ使うのは、「大人」だからなんだね。(もちろん身体が弱いからそうでもしなければ生き残れなかった、という理由もある。)

勝てないと分かってる相手に正面から勝負を挑むのは、ただ無謀なだけだ。守るべきものがある「大人」は、子供じみたプライドや正義感をずっと抱えてはいられない。
この物語は少年漫画じゃなくて、現実世界に近い『あんスタ』の世界なのだ。反則ギリギリのやり口でも、主人公らしくない卑怯なやりかたでも、親のコネでも何でも使って、勝って生き延びなければいけない。そうでなければ芸能界で生き残れない。
(それをTrickstarが実践したのが【DDD】であり『オータムライブ』だろう。Trickstarはこれからは方向転換して正々堂々と勝負していきそうな気配だけど……どうなるかな~)

・桃李「大事なことを何も共有してもらえずに、甘やかされるだけよりはずっと良いけどね」「ボクもちょっとは成長したんだよ……英智さま」
今日の桃李はもう、過去のfineの行為を知っている。大人に一歩近づいている。英智が思っているよりも桃李の成長は早い。

桃李はみんなと比べたらまだまだ未熟だけど、たぶんいつか英智より優れた、でっかい男になれる。情熱と向上心と、清らかさと慈愛と包容力があり、弓弦という信頼できるひとがそばにいる。
英智はチェックメイトでレオを「月永くんは失敗した僕」って言い放ったけど、英智も「失敗した桃李」と言えるんじゃ?(それでも好きだよ)

・渉「台本に記されていない以上、不用意に涙は流しませんよ! それが役者の心意気……☆」
・英智「アイドルの流儀でもあるね。いつ流れるか計算できないそれは、決して商品には成り得ない」
このあと英智くんが涙を流すフラグです。

・英智「あぁ、気がついた? サプライ~ズ♪」
スタフェス後半戦用の衣装は、桃李のデザイン画を基にしたもの。これが英智から桃李へのクリスマスプレゼントだ。あぁ、これが桃李の思い描いていた「白亜の宮殿に舞い降りた聖なる使徒」か……! 桃李の首元も、普段のユニット衣装みたいなリボンじゃなくて、英智と似ている形になってる。イベントBGMも舞踏会のワルツっぽい雰囲気。貴族っぽくて高貴で素敵だ!
企画の資料は桃李が持ってって残ってないはずだけど、英智記憶してたのかな?

「冬の礼拝堂をイメージ」


・英智「何もわからない、無垢で、まだ幼い君に……。ごめんなさい桃李、僕は本当に酷いやつだね」
英智は企画書を却下するとき、冷たくあたったことを反省している。

「自分の後ろ暗い部分に触られた気がして反発してしまったんだ」


英智にとっての桃李
・英智「君が喜んで笑ってくれたら…… むかぁし、独り寂しく病室で、この世を怨んでいた僕自身も救えるのかもしれないね」
英智は桃李に、幼いころの自分を重ねて見ている。

敬人「貴様を見ていると英智が幼かったころを思い出す」(『エージェント』)
英智「昔は桃李なんかよりずっとわがままなお坊ちゃんだった」(『喧嘩祭』)
という台詞もある。それもあって、必要以上に厳しく当たるんだろう。英智が自分に厳しくするタイプの人間なこととも関係ある気がする。

英智は、そんな自分の分身か愛息子みたいに思ってそうな「無垢な桃李」には、自分の悪い面は隠そうとしていた。

メインストーリーのノベライズでは、【DDD】決勝で、英智が桃李の首に手をしめかけている描写があった。一瞬でもそんな恐ろしいことをしたのは、自分が棄権する不様で恥ずかしい姿を、無邪気な桃李に見られたくなかったから……だと思ってる。
でも桃李は、英智が何をしようとしているか気づいていながらも、受け入れるように優しく笑った。英智のなかにある「幼いころの自分」より、桃李のほうが器が大きい。
命を握られて、やっぱり怖かったのだろう――それでも健気に逆らわずに弱弱しく震えている愛し子を、英智さんは大事そうにずっと撫でている。ちいさな彼を、幼いころの自分自身を抱きよせるように。
(『歌声よ天まで届け』P.348)

レオと英智の対比
桃李に格好をつけてたい英智と正反対なのが、去年の『スタフェス』のレオ。
「おまえがどんな薄暗い内心を、罪を抱えていても関係ないよ」と、秘密を隠そうとする嵐に、汚いところもすべて見せろと迫る。それが本当の仲間、戦友だと言いたいんだろうな。
レオ「お上品ぶってんじゃないよ、どいつもこいつも……。誰に対して格好つけてんだ、あぁ? 一緒に泥をかぶって返り血を浴びて臭い飯を啜りながら、互いに通じあい信頼しあって戦場を駆け抜けられる仲間になりたいよ」
(スタフェス Silent Knights/第四話) 


第六話、fineがステージに立つ。

・弓弦「傲慢で、我が侭で、自由なおかたです。ついていくのも大変ですよね、日々樹さま?」
弓弦も渉も、英智の困ったところなんてとっくに知ってるし、受け入れている。
弓弦は懐が広い。「手のかかるガキ」ばかりのfineを支えてくれている。

fineのお守り役・弓弦

・英智「だんだん君も見ているだけで愛おしくなってくるさ。僕と君は、似ているからね」
英智は見ているだけで渉を愛おしく思っているんだね。憧れの人だもんな。
英智が僕たちは似てるね、仲良くできるねって言ってるのが微笑ましい。(転校生、凛月、スバルとかにも言ってた)ちゃんとした友達がほとんどいなかったからはしゃいでしまうのかな。

「花言葉は『祝福』です……☆」

・桃李「わかんない。気がつけば好きになってたから」「とっても自由に見えて、楽しそうで、羨ましかったの それで憧れたの、あのひとみたいになりたいって……」
桃李が英智に憧れるようになったきっかけが明らかに。
英智が自分と同じような御曹司でありながらアイドルを目指してたことが、桃李の心を動かしたんだね。
英智が渉の自由さと輝きにひかれてアイドルを目指して、桃李がその英智の後を追って、憧れが次々に繋がっていくのがイイ。

・英智「誰かにそんな輝きを見せられただけで、きっと、僕たちには生まれてきた意義がある」
むかし世界を呪っていた英智が、渉や他のアイドルたちの輝きに触れて、生まれて来た喜びを見いだせた……。だから英智は自分もアイドルになろうと渇望したし、全身全霊をアイドルに捧げてきた。
推しがここまで「アイドル」を愛してて幸福に思いながら活動してくれていること、ファンとしてはこれ以上の喜びはない。天祥院英智を一生愛す。

・英智「もう、君に教えてもいい頃合いだろう だって君はこんなにも、立派な、一人前の紳士になったのだから」
桃李「わざわざ教えてもらわなくても知ってるよ、英智さま
英智たちがこのままずっと後ろ暗い行為を隠し続け、過去は胸に秘めたまま卒業し、後輩には希望だけを抱いて生きてもらう……そういう未来を私は思い描いていたけど、ここに来てこういう展開になって驚いた。


桃李と司の対比
去年のと今年の【スタフェス】で、桃李と司も対照的だ。
強豪ユニットの一番未熟者の末っ子で、御曹司のふたりはライバルでよくペアにされている。(初詣、トイランド、個別スト「貴族と従者」など)

スタフェスでの二人の共通点はこうだ。
・もう子供扱いされたくない
・ユニットを理想化していて、もっと高く評価されてほしいと意気込んでいる
・先輩が何か秘密を隠している

去年、司は嵐の秘密を明かしてもらえなかったけど、桃李は英智に秘密を教えてもらえるぐらいに一人前だと認められた。一歩リードだ。
というかその前にすでに弓弦経由で知っていた。弓弦の存在は桃李にとって強力な武器だ。司が弓弦を欲しがるのもわかる。また、余計なお節介をしてくれたつむぎの存在もありがたい。

・英智「君はどう思った? 軽蔑したかい? 僕のことが、嫌いになっちゃった?」
英智は、桃李に軽蔑されたり嫌われたりすることを恐れていた。
でも桃李は過去を知ったあとも、今までと変わらず「英智さま」と呼んで慕ってくれている。(泣かされた仕返しに、英智への質問には答えないけど。)



「君は基本的には天使だけど、ときどき小悪魔に変貌するね」

・桃李「天使と悪魔なんて同じようなもんだよ、英智さま! 昔はどうか知らないけど、今はたぶんそういう時代……♪」
僕たちはアイドルだから、お客さんの前では愛や平和や幸福を歌っていようと桃李はいざなう。
一人の人間のなかに天使も悪魔もいる。穢れの一切無い聖人など現実には存在しない。
過去に悪魔みたいな所業をしてきた人が、いま美しい天使のようにも振る舞ったっておかしくない。
彼は憧れの人のマイナス面に触れて、それも受け入れられた。大人の道を歩み始めている。ネガティブな自分を隠してきた英智よりも、多分ずっと強い。

「天使と悪魔なんて同じようなもんだよ」

英智の罪とfine
道を間違えなかった自分自身のような、いやもっと輝かしくて、希望そのもののような桃李に、英智が手を差し伸べられている構図なのが尊い。桃李に真に認められた感じがする。呪いが解かれたみたいに、英智の目には美しい涙が光っている。

誰にも自分の行いが赦されるなんてまったく思っていなかった英智が、こうして仲間に罪ごと受け入れられたのが感慨深い……。まぁ、渉は加入前からぜんぶ英智の思惑知ってるだろうし、弓弦は以前からそういうのに薄々気づいてたようだけど。

これで英智の罪が消えたわけでも、みんなが赦してくれたわけでもないけど、事実を知っても、メンバーが変わらず英智のそばにいてくれるのが嬉しい。fineの絆がとても深まった……。英智の「みんなで一緒に『fine』を始めよう」」という台詞も感慨深い。
英智にとっての『fine』ということばが意味するものはもう「終末」じゃない。夏には「完成図・理想像・最終結論」になっていた。(『ダンスフロア』)

あぁ、だからfineは、あの『Neo Sanctuary』を4人で歌えるんだな……。
(革命期の英智の心情は、桃李や弓弦に絶対に知られてはいけないと思いこんでいたから、私はあの歌を4人で歌うことが以前は腑に落ちなかった。)


私は今までずっと、finePを名乗る自信がなかった。
現fineのメンバーだって、英智が見せてきたfineの上っ面、虚飾のきらびやかさが剥がれて、醜い内面を見たらいつか離れて行っちゃうんじゃないかって、怖かった。でもそれって英智みたいに勝手に心の壁を作ってただけな気がするな。主に桃李のことを、可愛がりながらもお子様だって見くびっていた。
いま、これでようやく胸を張ってfinePを名乗れそうです。三人ともみんな大切な仲間だよ…………!ギュッ! これからも英智くんをよろしくね!

エピローグ

【スタフェス】翌日の生徒会室。
桃李がさっそく新しい企画書を持って来る。桃李も弓弦もいつも通りだ。
渉は北斗の芸のつまらなさにガッカリして、またションボリしている。


・英智「子供の成長速度には驚かされるねぇ、人生における愉しみが増えたよ これからは毎晩、明日を待ち遠しく思いながら眠れそうだ」
桃李の成長を喜ぶ英智くん。
今の英智がほんとうに安らかに眠れるようになって、良かった…………。ありがとう桃李。渉。弓弦。みんなのお陰です。ありがとう。
こわいぐらい希望に満ち溢れた、ハッピーエンドだ。


全世界にメリークリスマスと言ってまわりたい……!! メリークリスマス!!!!!!

「僕たちの未来は輝いているね……♪」

愛せるアイドルと、その幸せな姿を見られただけで、私も生まれてきて良かった。
ありがとう日日日先生。ありがとうハッピーエレメンツのみなさん。(遺書……?)
こんな長すぎる記事を読んでくれたみなさんもありがとう。嬉しいです。ここまで書くのに10日かかった。(かけ過ぎ)


追伸)プロローグにはL'Arc~en~Cielの『I Wish』がぴったりです。ぜひ聴いてください。

(2017/12/10追記:クリスマスソング『ジングルベル』と関連付けたストーリーだと日日日先生がツイートしてた。これからあの歌を聴くたびに思い出してしまう……!



『ノエル』関連の記事はほかにも2つあるよ。
英智の見る「夢」について考える
『日々樹渉』の変化と人間と偶像






2 件のコメント :

  1. アンナさん、こんばんは!
    いつもブログやツイッターを拝見して楽しませていただいております!
    天祥院英智に関する考察を見るのが好きなので、いつも丁寧によく英智のことを考えられているアンナさんの記事を読むのが楽しみです(´∀`) 今回のイベントの感想考察もきっとたくさん書いてくださるだろうなと思いワクワクしておりました!

    今回のイベントは内容が濃すぎて私は未だに実感すら湧いていなくて、漠然とすごかった…と思いながら初めて500位以内に入るまで走ってしまいました…笑
    そんな中でも、英智が「ふざけるな」と声を荒らげたところや渉が凹んでいたり怒っていたところは特に衝撃を受けましたよね……。ノエルに関する他2つの記事も読ませていただいたのですが、やっぱり驚きですよね…!
    以前は、渉が英智によって地上に繋ぎとめられたということは人間離れが少しは食い止められてるのかな〜?程度に考えていたのですが…思った以上に人になっていてダンスフロアから驚きっぱなしです…
    そういえば、昨年あたりの薔薇十字でも電車に乗って音楽を聞きながら歩いているという人間らしさを描かれていたなあとふと思い……年度が後半になるにつれて人間らしくなってるんだなあと、強く実感しました。
    ちなみに私は、元々人間として人に興味がなかったけど、仲間達と同じ目線から触れ合うことで人間性を獲得した派です!が、普通の人を演じるのが上手くなった…などの説も面白そうだと思いました…!

    英智については謝る資格や後悔する資格やもないと罪悪感から必死に目を逸らしていた頃から、少しずつ色んな仄暗い思いが氷解していくようで感無量でしたね……
    アンナさんが仰っている、桃李が「失敗しなかった英智」ということになるほど!と思いました…!そんな後輩が、自分の罪を知ってなお慕ってくれていて…英智にとって真の救いになったんだろうなと思うと胸熱ですね……
    個人的には、渉がfineに入った時が語られるのとfineの返礼祭が楽しみなのですが…今度こそ転校生が成仏しそうで怖いです(笑)

    今回のイベントは思うところが多すぎて人様のブログへのコメントなのに長々と書いてしまい申し訳ないです…(>_<;)
    今後もブログやツイッターを楽しみにしておりますね〜!

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    1. 匿名さん、こんにちは~!

      楽しみに待っててくださったんですか! わ~~~ありがとうございます~~! 
      長文コメント、すごく嬉しいです……♡
      私もご覧のとおり、かなりのお喋りなので、遠慮なくいっぱい語ってってください~!

      いや~、濃いストーリーでしたね!
      こんなに一つのストの感想を長々と語ることになるとは思いませんでした。まさか10日もかかるとは……。でも言いたいことがありすぎて削れなかった。
      感想3つともぜんぶ読んでくださったんですね! 長いのにありがとうございます!

      500位以内ってめちゃくちゃすごいですね……! いやでも、そこまで爆走してしまうほどのエネルギーがこのイベントにはありましたね! 私はもっと下ですw 

      そうそう! 渉が、ほんと驚くくらい人間らしくなってきてますよね……!?
      これが『日々樹渉』???みたいな。
      あ~~薔薇十字の通学姿もありましたね! 転校生さんが友也みたいに「渉が電車で……!?」って驚いてたのを思い出しましたw
      アレコレいろんな仮説を立ててみましたが、「仲間たちと触れ合って人間性を獲得した」説、私もたぶんそれが正解のような気がします! 

      英智についても、そうなんですよ……! 氷解……! ピッタリな表現ですね!それです!!
      英智がいろんなこと覚悟しながらも後輩には黒い過去を隠してたことって、
      なんとなく英智推しの私も一緒に「罪」として抱えて歩いてたような気がするんです……。(勝手に)
      それが今回のストで弓弦や桃李に受け入れられたことで、英智ごと我々も救われたような気分になりました。浄化されて安らかな魂になった気がします。(悪霊……?)

      あぁ~~やばいですね、fineの返礼祭と渉のユニット加入エピソードが語られたら、多分ほんとに成仏してしまいますww
      見たいような見たくないような……。そんなの見たいに決まってるんですけど! 心の準備が……!

      ではでは、書き込みありがとうございました~!
      またツイッターでもここでも、いつでもお気軽にお話ししてやってくださ~い! ノシ

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